youtube、Twitter、Instagram、Facebook…近年は誰であっても自由にインターネットを使うことができ、誰もが簡単に発信者に慣れる世の中です。
そんな中、次の時代のインターネットとも呼ばれ、注目を集めているWeb3.0。しかしまだまだ認知は一部の人に限られているのが現状です。今回はそんなweb3.0について誰であってもわかりやすく理解できるよう、一から解説していきます。
次世代型インターネット「Web3.0」とは?
Web3.0とは、ブロックチェーン技術などによって構築される新しい「分散型インターネット」のことを指す言葉です。とはいっても「分散型インターネット」という単語のみでその仕組みを理解することは至難の業です。Web3.0の理解を深めるためにも、現代のインターネット社会を象徴する、web2.0をおさらいします。
web2.0は全員が既に触れている仕組み
web3.0が「分散型インターネット」を指すのに対し、web2.0は「中央集権型インターネット」と呼ばれています。もっと言葉を身近な例に置き換えて解像度を高めていきましょう。
皆さんは日々、一日一回は必ずといっていいほどインターネットを使用して生活しています。Amazonで日用品を購入したり、Googleでふと気になった情報を検索、TwitterやInstagramで友人の投稿を目にし、youtubeで好きなタレントのコンテンツ見る。これらは誰にでも当てはまる、現代においては日常生活に組み込まれている当たり前の行動です。
しかし、それはそれぞれのサービスの提供者であるAmazonや、Google、Twitterなど特定の企業へ、住所、氏名、行動履歴、購入情報などの情報が知らず知らずのうちに集中してしまっていることにお気づきでしょうか。これが中央集権型インターネットと呼ばれている今の時代のインターネットの特徴です。
情報が一箇所に集中することによるサイバー攻撃によるセキュリティリスクや、個人情報のプライバシーが巨大企業に独占されるなどの問題が指摘されています。
web3.0は情報を分散する、いわばインターネット上で「所有」の概念を持たせる。
それでは話題をもう一度web3.0に戻し、現在のインターネット社会とは何が異なるかについてみていきましょう。
改めて記載しますが、web3.0とは「分散型インターネット」。つまりweb2.0の社会では各企業に依存してしまっていた情報の所在を、web3.0ではそこに参加するユーザーで分散して管理することにより、前述したようなリスクや問題を解消できるようになります。
これはインターネット上で真の意味でモノやサービスを「所有」することができるようになるという意味も含まれます。
もう少し分かりやすく、具体例を使って分解していきましょう。
Amazonでの具体例
例えば、Amazonが提供している電子書籍サービスkindleにて、Aさんが書籍を購入するとします。もちろんAさんはお金を払ってその書籍を購入していますが、その書籍、実はAさんの所有物ではありません。これは「kindleで書籍を購入した。」という情報がAmazonに登録され、kindle上のみでその書籍が閲覧できるということです。
つまり、Amazonという一つのプラットフォーム上でしか、その書籍がAさんのモノであるということは担保されておりません。仮にAmazonのデータベースが何らかのハッキングを受け、情報が喪失する。またはkindleの利用をやめる等した場合、購入した書籍はAさんの手元には残りません。
こういったことからWeb2.0上の購入品のほとんどは厳密には所有物ではなく、1プラットフォーム上で管理されている情報でしかないのです。
これに対し、web3.0ではインターネット上の取引データを複数のユーザーで適切に記録することにより、インターネット上の資産を「誰が所有しているか」を明確にすることができます。
例えば、Aさんがweb3.0上で電子書籍を購入したとします。その瞬間、web3.0上に参加している全ユーザーに「Aさんが○○という書籍を購入した。」という情報が共有され、プラットフォームの垣根ない共通認識が生まれるのです。
さらにわかりやすく例えると、カフェで自分の目の前に並んでいる人がコーヒーを頼んだとします。あなたは実際に前の人がコーヒーを買っているのを目撃しているわけですし、店員さんもそれを目撃しています。これに近い共通認識がweb3.0上では行われるというニュアンスです。
こうすることにより、「あの商品はAさんが買ったんだから、Aさんの所有物だよね」という、今までのweb2.0には無かった「所有」の概念が生まれるのです。
もちろん、これらの取引データは言語や、誰もが確認できるような情報単位で管理されるのではなく、断片的に複数人で「ブロック」という情報単位で管理されます。これらの断片的の情報を鎖のようにつなぎ合わせると、一つの取引データを証明できる。このように複数のユーザーで適切に記録する技術のことをブロックチェーンと言います。
ブロックチェーン上では、もしもどこかで取引データの改ざんや複製、不正アクセスが行われた場合、他のユーザーとの差異が発生するため、不正がすぐに検出されます。つまり、ユーザー同士がネットワーク上で互いのデータをチェックし合うシステムを構築できるのです。
Web3.0がもたらす4つのメリット
Web3.0について大枠が理解できたと思いますので、次はWeb3.0が普及することにより、社会や我々にどんなメリットをもたらすのかについて紹介していこうと思います。
①今までとは次元の違うグローバル化が進む
現在のインターネット環境は、かなりグローバル化が進行されていると一般の人たちは感じるでしょうが、実際はまだまだ至らないところが多いのが実態です。
たとえばAmazonの場合、公式サイトのURLは国ごとに異なりますので、同じサービスでも国や地域によって分散化されています。
また、日本では誰しもが自由にインターネットを利用できますが、中国では、政府により Google や Twitter、YouTube といったサイトへのアクセスが禁止されているのです。
しかし、Web3.0の時代が普及すれば、ブロックチェーンに加わることに条件や権限は設けられておらず、かつ中央集権的なサーバーが存在しないため、誰でも自由に希望するサービスへのアクセスが可能となるのです。つまり世界中のどこに居ても同じURLでサービスが利用可能、国境や人種の制限なくサービスを利用できることです。
また海外とのビジネスチャンスも広がります。例えば今までは海外のクリエイターに仕事を依頼しようにも報酬の支払いには為替等の影響が絡み、手間がかなりかかる海外送金をする必要がありました。
しかし、web3.0上での取引は仮想通貨が原則使用されますので、一瞬で報酬の受け渡しが可能です。これにより、たとえ国内にいた場合でも、海外とのやり取りはスムーズになるでしょう。
②サーバーに依存せず情報を交換できる
Web3.0は、原則として、サービス利用に伴う個人情報の登録が不要となります。またP2P(ピアツーピア)と呼ばれる通信方法を活用することで、サーバーを経由せずにデータを管理できることできます。
これにより、サーバーにアクセスが集中してダウンしたりといったトラブルを防ぐことができるほか、企業とユーザーが直接取引できるようになります。つまり、企業とユーザーでビジネスが展開する可能性が高くなりますし、これまで仲介者の役割を担っていた企業やサービスが不要となる、つまり、そこへ支払っていた手数料などもなくなるでしょう。
➂セキュリティレベルが向上する
前述した「②サーバーに依存せず情報を交換できる」にも紐づきますが、web3.0では、取引情報などが暗号化され、さらにそれが複数のユーザーで共有されます。つまりどこかの企業のサーバに情報を登録するというステップは必要なく、個人情報の登録は基本的に不要です。
これにより特定の企業・サーバーに情報が集約されている今までとは異なり、サーバーのハッキングによる、大量の個人情報が流出するリスクがなくなります。
④クリエイティブが本当の意味で評価される
皆さんが普段見るyoutubeにアップされている動画は、それぞれの動画に資産的価値があると思いますか?答えは限りなくNoに近いでしょう。youtubeにアップされている動画はyoutubeのサーバーに管理されており、youtube上でしかその価値は発揮されません。
加えて、いまや時代を駆ける人気youtuber達。彼らの収益源は主に動画にくっついている広告収益です。つまり、彼らは正確には、動画というクリエイティブで収益を得ているのではなく、youtubeに評価される動画を投稿し、そこで発生する広告収益を生業としているといえるでしょう。
これ自体が良い、悪いという問題ではなく、クリエイティブ自体がyoutube等という企業が展開するプラットフォームの判断ではなく、世界中のどんな人からでも評価されることにより、価値が決定される世の中になるのも、Web3.0のメリットといえるでしょう。
Web3.0ではゲームでお金を稼ぐことができる?
今までWeb3.0について、メリットを紹介してきましたが、いまいち自分には遠い技術な気がする。日常生活に結びつかない。と感じる方は多いと思います。そこでWeb3.0の理解をもっと深めるのに加えて、もっと皆さんにこの次世代のインターネットを身近に感じてもらうため、ある事例をご紹介します。
それが今回記事のタイトルにもなっている「Web3.0ではゲームでお金を稼ぐことができる。」という点です。一見すると胡散臭いようにも聞こえますが、勘の良い人であれば、おそらくこの記事でWeb3.0のメリットを語っているあたりでお気づきになられた方もいるのではないでしょうか?
それではその実態について説明してまいります。
ゲームのキャラの価値が民主化される
Web3.0がもたらすメリットでも説明しました「④クリエイティブが本当の意味で評価される」を今
一度、これ以降の文章を読んでもらえれば理解度が増すと思いますので、今一度確認してもらってから読み進めていただくのをおすすめします。
さて、Web3.0ではプラットフォームに情報が依存しないことで、クリエイティブ自体に価値、資産性が生まれることを説明しました。ゲーム内のキャラクターであってもその認識は同じです。
皆さんは今までにパズドラ、モンストなどのアプリケーションゲームに取り組んだことはありますか?高いレアリティのキャラを手に入れるため、時にはゲームに課金してまでガチャを回したことがある人もいると思います。(筆者はパズドラに一気に50,000円課金して、お目当てのキャラを手に入れた経験があります泣)
しかしそうして大金をはたいて手に入れたキャラであっても、あくまでその価値はゲーム内のみのもの。他人に譲渡することはできないですし、ましてやリアルマネーに換金することはできませんでした。
しかし、Web3.0上のゲームにおいては、特定のサーバーが存在しないため、仮想通貨によってキャラの価値を評価することが可能なのです。つまり、「あの人が持っているあのキャラは○○円くらいの価値があるよね。」という認識が持たれるため、現実世界においても資産なるのです。
こういったキャラクターをはじめとするクリエイティブは仮想通貨のブロックチェーン上で発行されるデジタルデータ、NFT(非代替性トークン)と呼ばれます。NFTが実際の資産につながる理由としては、データの改ざんやコピーが理論上不可能であり、唯一無二の価値を持たせられることもあげられます。
すでに実装されているNFTゲーム。キャラによっては数千万円の価値も。
こういったNFTを使用したゲームはNFTゲームと呼ばれ、実はすでに世界中でリリースされており、サービスも展開されています。そのゲームの一部を今回は紹介したいと思います。
実際の選手の活躍がキャラの価値に影響する「Sorare」
「Sorare」は2018年にリリースされた、実際に現実世界で活躍するサッカー選手でチームを組み、世界中のプレイヤーと対戦して結果を競う、サッカーのNFTゲームです。ゲームで上位の成績を取ると、報酬として高レアリティの選手カードや仮想通貨がもらえるのも魅力的でしょう。仮想通貨やブロックチェーンに詳しくない方も問題なく遊べるため、サッカーファンを中心に人気が集まっています。
さらにこのゲームの魅力は、キャラのレアリティは現実世界の選手のスコアがオンタイムで反映されること。つまり最初は低レアリティの選手であったとしても、その選手が現実で大きな活躍をすればその価値はどんどん高まっていくのです。
また、NFTゲームの性質上、同じ選手のカードの発行数は限られていることが多いため、もしかしたら未来のスター選手をチュートリアルで獲得することもできるかもしれません。
過去にはクリスティアーノ・ロナウド選手のカードが約3,200万円で売却された実績もあるとのこと…
「Sorare」の始め方
Sorareは以下画像をクリックすると簡単に始めることができます。
Sorare自体はページ内の案内通りに作業することで簡単に始めることができますが、高レアリティのカードを売買する場合、仮想通貨取引のための口座を開設する必要があります。
仮想通貨自体「よくわからないもの」という印象を持っている方が多いと思うので、まずはゲームだけ始めてみて、しばらくプレイすることでNFTに慣れるという進め方がおすすめです。
まとめ
実際のところ、web3.0という概念は少しずつ普及しているものの、まだまだそれを実装する技術面が追い付いていないのが現状です。しかし、ここ10年の世の中の動きを見てみると、ガラケーからスマホへの転換、キャッシュレスの普及など、社会は圧倒的な成長速度で目まぐるしく変化しております。
実際に、Twitter社はweb3.0のSNS「BlueSky」に資金提供を始めています。(2022年にBlueskyはTwitterから独立。)
今は「web3.0」という言葉自体、まだ知る人ぞ知るものですが、近い将来、この仕組みが一般的になるかもしれません。そういった最先端の技術や情報をたんぱんライフでは今後も取り上げていきます。