働き方改革、新型コロナウイルスの感染拡大から近年よく耳にする新しい働き方、リモートワーク。テレワークとも呼ばれるこの働き方は今や世界中の多くの企業で採用されており、新時代の働き方とも言えるでしょう。筆者の企業でももちろんリモートワークは導入されています。
今回は、まだテレワークを導入しきれていない、少し遅めのスタートだが少しずつ対応していきたいという企業や、これから新しい門出を控える新社会人の方々に向けて、このリモートワークの実態を国のデータから分析と、筆者がリモートワークを行い実際に感じた感想、準備しておくべきポイントについて紹介していきます。
リモートワークの語源
「リモートワーク」は英語で「remotework」と表記され、「remote=遠隔・遠い」、「work=働く」の2つが合わさってできた造語です。リモートワークにも様々な種類があり、主に以下の3つが代表的です。
在宅勤務 | 基本的に自宅から遠隔で仕事をすること。 |
ノマドワーク | Wi-Fi環境のある喫茶店など、通常のオフィス以外の様々な場所で仕事をすること。 |
モバイルワーク | 空間と時間を選ばず、どこにいても自由に仕事をすること。ノマドワークとの違いは場所にとらわれず、移動中なども仕事を行うことを指します。 |
一緒によく聞かれる「テレワーク」も「リモートワーク」とほぼ同じ意味ですが、これらの言葉が使われるようになってからまだまだ日も浅く、語源や定義も明確になっていないのが現状です。
企業のリモートワーク導入率
現在、どのくらいの企業がリモートワークを導入しているのでしょうか?総務省が発表している「情報通信白書」のデータから見てみましょう。
現在公開されているデータは2018年のものまでになりますが、企業におけるテレワーク導入状況を概観すると、19.1%となっています。実は新型コロナウイルスの感染が拡大する少し前から、既に20%近い企業にてリモートワークが導入されていたのです。
新型コロナウイルスの影響により、この頃よりもはるかに企業のリモートワークの導入は進んでいると考えられますので、2021年現在では2019年よりも倍以上の企業にてリモートワークが実施されているかもしれませんね。
リモートワーク導入による直近3年間の売上高の変化
次にリモートワークを導入したことにより、企業の売上はどのように変化したのでしょう。
この記事を読んでいる方の中には、「出社しない働き方で利益が出るはずがない。」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。実は私もそんな人間の1人でした。
それではこれも総務省が発表している「情報通信白書」のデータから見てみましょう。
リモートワークを導入した企業と、そうでない企業の直近3年間の売上高、経常利益を比較すると、なんとリモートワークを導入している企業の方が、直近3年間の業績が上昇する傾向にあることが分かります。
これはテレワークの導入によって労働生産性が向上し、効率的な企業活動が可能となったことが、売上高のみならず経常利益拡大といった結果に繋がったと言えます。
つまり、リモートワークは企業業績の観点から見てもプラスとなる働き方と言えるでしょう。
リモートワークを導入する上で準備しておきたい3つのポイント
前述しました内容からも企業がどんどんリモートワークを導入していること、リモートワークが業績アップにも効果的であることはお分かりいただけたと思います。
それでは今からでもリモートワークの導入を検討する上で、事前に準備しておきたい3つのポイントについて、筆者のリモートワークの経験も踏まえてご紹介します。
1.社内情報のデータ化
顧客情報などの通常業務に不可欠となる情報は事前にデータ化しておきましょう。基本中の基本ですが、とても重要な点です。
書類のままになっている見積書、新規訪問の際に使っている紙のままの営業資料、普段オフラインで行っている業務で使用する資料も同様です。いざリモートワークを実施するとなっても必要書類を毎回会社に取りに行っていては作業工数や交通費がかさみ、逆に非効率になってしまいます。
自分の日頃の業務をもう一度見つめ直し、データ化できていない資料や情報があれば事前に会社のクラウドに落としておきましょう。
2.社内メンバーのコミュニケーションのインフラ構築
社内にメンバーがいるのと違い、リモートワークでは簡単なお願い、やり取りでさえ口頭で行うことはできません。かといって毎回メールでのやり取りでは時間がかかってしまいます。作業効率を落とさないためにもこういったコミュニケーションの下地をしっかりと構築することはとても重要です。
そんなときに必要となってくるのがチャットツールです。いまや多くの方が利用しているLINEのようなアプリケーションです。ビジネスに特化したチャットツールは多くリリースされており、筆者がリモートワークで使ってみて便利と感じたものをご紹介します。
slack
多くの企業で導入されているコミュニケーションツール「slack」。個人間の会話はもちろん、チャンネルというグループも作成可能なので、プロジェクトの参加メンバー間でのやり取りもスムーズに行えます。
また、外部のタスク管理ツール、クラウドサービスとの連携もできるので、そこでアップデートした進捗をslack上で自動的に通知することも可能です。
そしてとにかく分かりやすいユーザーインターフェースも魅力的です。細かい説明も不要な、直観的に使い始められる仕様なので、すぐにでも業務のコミュニケーション円滑化に役立てられるでしょう。
3.メンバーの業務進捗の見える化
リモートワークでは社内メンバーの業務の進捗が分かりにくいのも課題の1つとも言えます。上で紹介したコミュニケーションツールを導入したからといって、誰がどのタスクを担当しているか個別に確認したり、毎回1人ずつ作業の進捗をヒアリングしていたらそれだけで1日が終了してしまいます。
そこで役に立つのがタスク管理ツールです。ここでも筆者がリモートワークで使ってみて便利と感じたものをご紹介します。
monday
タスク管理ツール「monday」はYahoo!、コカ・コーラといった有名企業でも導入されているタスク管理ツールです。mondayの魅力は大きく以下の3点と言えます。
- プロジェクトの進捗だけでなく社員のスケジュールと作業量が一目で分かる。
- ボード上で簡単にコミュニケーションがとれる。
- 使いやすくカスタマイズして自由に使いこなせる。
なかでもオススメしたい機能が「ガントチャート」。ガントチャートとは横軸に時間、縦軸にメンバーや作業内容を配置し、工程やタスク毎に作業開始日、作業完了日の情報を帯状グラフに表したものです。
mondayのガントチャートでは、現在のプロジェクトの数、担当者、期日等とても見やすく、視覚的にタスクの進捗を把握することが出来ます。また、先ほどご紹介したslackとの連携も可能なので、なにかタスクにアップデートや更新があった場合はすぐにその通知を受け取ることが出来ます。
まとめ
いかがだったでしょうか?リモートワークとは何か?現在どれくらい導入されているのか?会社にとってどんな影響があるのか?気をつけなければいけないポイントは何か?について解説してきました。
リモートワークという働き方は、最近になって多くの企業が導入し始めたことは間違いありません。まだまだその働き方に正解はなく、模索されている状態だと思います。
私は今マーケティング、主にwebマーケティングという仕事に携わっており、デジタル分野に従事していますが、「リモートワークの正解を教えてください。」と言われたら正直少し戸惑ってしまいます(笑)。
ぜひ試行錯誤を繰り返しながらも、自社、自分に合ったリモートワークの最適解をこれから探していってくださいね。