「仕事に関して深く考えることができない…」
「なんで他の人はそこまで深読みできるんだろう?」
アニメや漫画の考察できる人すごいですよね、たとえワンシーンであってもちょっとした表現から裏の裏の裏まで読み解く人もいます。自分にはそんなことができない、最初に思った、感じたことしか考えつかない。そんな方も多いと思います。というかそんな人が大多数なのではないでしょうか?
しかしその考え方は悲観されるものではなく、実は重要な「スキル」だということに気付いていない方もまた多いと思います。
今回はそんな方々に向けて、今まで弱点だと思っていた「深読みをできないこと」をどのように仕事や日常生活に役立てていくのかを紹介します。
「深く物事が考えられない」=「多くのユーザーの気持ちになれる」
冒頭で書いたように裏の裏まで読み取れる人はそうそういません。と、いうことはそれだけ一般的なユーザーに近いモノの見方ができるということです。
例えば仕事でとても工夫をこなしたモノを大衆向けに一つ制作したとしましょう。作った人達はかなり頭のいい人達で多くの工夫を凝らしています。しかしあなたがそれを見た時、「なんか凄そうだけどいまいち使い方が分かりづらい」と感じたとしましょう。
あくまで今回は大衆向け、自分自身もそのターゲットであると仮定すれば、さっそく一人のユーザーに伝えたいことが届いていないということです。いくら工夫をこらしても伝えたいことが、相手に伝わらなければ意味がありません。それをまずはあなた自身が気づくことで、そのモノが世にリリースされる前にもう一度熟考できるわけです。
具体的と一緒に活かした方を教えます
それではシーンごとに例を使って、「深く物事が考えられない」=「多くのユーザーの気持ちになれる」の活かし方を説明していきたいと思います。
企業での活かし方
企業が自社サイトを作ったとしましょう。それをパッと見た時に、使い方が分からない、自分の行きたいページに中々たどり着かない、そう「なんとなく使いづらい」と思った気持ちを忘れないでいてください。
そこからもう一歩だけユーザーの気持ちになって考えてみましょう、これはさっきまでの「なんとなく」を言語化していく事につながります。
ユーザー、つまり作ったwebサイトに訪れる人は、何が知りたくて、どういった経路でこのサイトにたどり着くのか、そこまでユーザーの体験に寄り添ってみるんです。
カラオケ屋さんがお客様向けにwebサイトを作ったことを例にして考えてみましょう。カラオケをしたい、カラオケボックスをさがしている人の場合、おそらくネットで「近くのカラオケ」「○○町 カラオケ」と検索するケースが多いと思います。そういった人々はまずは何を気にするでしょう?大体が現在の空き状況や利用料金でしょう。
そういった人達が自社のサイトTOPページに訪れた時、空き状況や利用料金をすぐに確認するページが見つからないとどう思うでしょうか?きっとすぐ他のカラオケ屋さんを探しに離脱してしまいますよね。
知りたいと思われている情報をきちんと提供できていないと「なんとなく使いづらいサイト」になってしまうわけです。つまり最初に感じた「なんとなく使いづらい」という感情は、必要な情報がしっかりと相手に伝わっていないことに繋がる可能性があるのです。
自社に置き換えた時に、なんで使いづらいんだろう?この使いづらさは本当に自分だけが感じていることなのか?と、ターゲットと照らし合わせながら「なんとなく使いづらい」の理由を言語化していくことで、自分たちの商品・サービスをより広い範囲に届け、売上向上に貢献できるかもしれません。
企業のアピールしたいモノがある場合は、より注意が必要?
企業にアピールしたいモノがある場合、より注意が必要なケースがあります。カラオケ屋さんをまた例にとると音質のいい機材をアピールしたいケースもあるでしょう。それを前面に押し出すことが集客につながるといった戦略も確かに効果的かもしれません。
ただ、本当に「多くのユーザー」の求めているものは何か?を考えてみた時、もしかしたらその戦略が効果的ではないかもしれません。代わりに実際のカラオケボックスを紹介するページ内にティップスとして配置した方が、「多くのユーザー」の中にいる「いい音質を求めているユーザー」の層をつかみ取り、売上に繋がるかもしれません。
日常生活から仕事への展開の仕方
電車、プライベート、通勤で皆さんも高頻度で利用しますよね。その電車内にある広告を注視したことはありますか?おそらくほとんどの方は、「なんかあるな」程度でそれらの広告のほとんどには興味を示さないのではないのでしょうか?ただそこから少し発想を以下のように転換してみましょう。
「なんでここに出すんだろう、誰も見ないと思うのに…。」
電車内の広告というのは莫大な広告費を使用します。一ヵ月掲載するだけで何百万というのも珍しくありません。一企業がそこまでのお金を使ってまで、意味のない場所に広告を掲載するでしょうか?答えはNOです。
例えば、電車内で塾の広告を見たことはありませんか?私の場合、よく使う某路線では「怒涛の合格!み○ず学苑」を見かけます。一見、なんでここに塾の広告なんか?と思いますが、電車を使用するユーザーには、若者はもちろんですが、働いている親世代の方もいらっしゃいます。その方々をターゲットとし、通勤中を狙って自社のサービスを訴求しているんです。
以上を理解したうえで、他の広告にも目を向けてみましょう。段々と各社が想定しているターゲット像が浮かびあがってくることでしょう。自分には広告の内容が刺さらないと考えていても、もしかしたらそんな自分がマイノリティかもしれません。
広告のクリエイティブ(見栄え)からも気づきを得ることが出来ます。
広告の内容から性別、年齢、志向性が判断できたら、今度は色使い、広告内の人の配置などにも意識を向けてみましょう。そのターゲット層が一番魅力に感じるクリエイティブの見せ方を、それらの広告から学ぶことが出来ます。
例えば若い女性をターゲットとした美容整形広告ではモデルさんが大きく表現されており、施術後のイメージがつきやすいように作られていたり、ビジネスマン向けの書籍広告ではその本を読むと獲得することができる知識や知見が文字ベースで紹介されていたりします。
自社でクリエイティブを作成する際にもそういった気づきを展開することで、よりターゲットに刺さるものを作ることができるかもしれませんね。
重要なのは気づきを共有すること
気づいただけで自分の中でとどめておくだけでは意味がありません。それを発信することもまた重要です。
自分の中でとどめておいたままでは周りの人間が気づくことはまずありませんし、その良いアイディアが実際のサービスや商品に反映されることももちろんありません。
しかし、人によっては手をあげて発信すること、コミュニケーションが苦手、自分の意見が正しいという確証がないため奥手になってしまう方もいらっしゃるとは思います。
直接の会話だけが意見を伝える手段ではありません。口頭でなくとも文章やイラストで伝えてみたり、誰かを仲介して自分の意思を伝えてみたりと、コミュニケーションを色々な形に変えてあげて自分がやりやすい方法で発信してみましょう。
今回紹介したのはUI/UXの入り口
「多くのユーザーの気持ちを考え、その先のユーザーの体験まで考える」これはUX(ユーザーエクスペリエンス)という仕組みに近いことを指します。またそのユーザー体験を向上させるための、ユーザーとコンピューターの間の接点、つまりサイトのデザイン、ボタン配置などをUI(ユーザーインタフェース)といいます。
厳密にいうとUI/UXは別物ですがセットで考えられるケースが多いです。現在、このUI/UXをしっかりと考えられる人材はどの業界でも重宝されており、これらを普段の仕事、日常生活から実践していくことは今後の自分の市場価値を高めていくことにも繋がります。
このように最初はマイナスに捉えがちな「深く物事を考えられない…」という点も角度を変えれば、市場で必要される重要な能力になりえるのです。ぜひ明日から今回紹介した内容のように自分の視点をブラッシュアップしつつ、仕事やプライベートに活かしてみてはいかがでしょうか?